home > ショートストーリー > ショートストーリー4(銀河・ルナ・夜明) 5ページ目

ショートストーリー4(銀河・ルナ・夜明) 5ページ目

5ページ目

前のページへ | 全5ページ|

 そのお願いというのが、その時点で「2研」ただ一人の部員となっていた――新入部員が2名入らなければ、廃部が決まっていたらしい――夜明を副部長とし、銀河が部長となることであった。
 それゆえに、銀河は一年生にして部長に就任したのだが。
「……まあ、その話は秘密だな」
 銀河はそう言って、うすく笑う。
「え、なにそれ、気になるよ銀河さん」
「まあ、ルナくんにはいずれ話すこともあるかもしれん」
 そう言って、銀河は眼鏡を中指で押し上げて空を見上げる。
「すっかり日が昇ったな。ようやく少しだけ暖かくなってきた――今日はわりと過ごしやすくなるかもしれん」
 その隣でルナも空を見上げ、実に邪気のない口調で言う。
「いいホモに出会えるといいなー」
「……よ、欲望が駄々漏れてる」
「今日! この日に! 欲望を漏らさなくていつ漏らすっていうんですか!」
 握り拳を作って熱弁するルナに、銀河はかかかと笑い、
「まあ、2次創作にせよオリジナルにせよ、ホモにしろそうでないにせよ、お互い良い本に巡り会えることを祈ろうではないか。今日、ここでしか出会えない本というのは確実に存在するのだからな」
 ちなみに明日と明後日は、ルナの主導によって三人はコスプレイヤーとして参加予定である。一年の締めくくりのイベントとして、良いものになればいい、と思う。
 銀河はポケットのスマートフォンを取り出して、時間を確かめた。
 時刻は8時58分。
 祭の開始まで、およそ一時間であった。

ss-4


前のページへ | 全5ページ|
5ページ目
新しい記事
古い記事

return to page top