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ショートストーリー2(ひなた) 3ページ目
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夜の道。
神社へと続くゆっくりとした上り坂に、参詣客の列ができている。
その最後尾に、中学生男子の三人組がいた。
どの顔も知っている。同じクラスだからだ。ひなたは学級委員をやらされているので、下の名前まで憶えていた。
手前から順に、大竹雄二、赤井夕陽、吉野大樹。
ひなたが雪穂と一緒にお参りに来たように、この三人も一緒にやってきたのだろう。
自然、ひなたの視線は中央に立つ夕陽に向く。特徴のない感じの無難な髪型、やや細めの顔立ちは美形と呼ぶほどではないが整っており、タータンチェックのマフラーを巻いて、濃い紺色のコートに身を包んでいる。
「声、かける?」
「いい、いい、いいっ」
ぱたぱたと手を振ってひなたは言い、そっと雪穂の陰に隠れる。
「ちょっと、間に人が並ぶまで待とう?」
「……別にいいけど」
あきれ顔の雪穂と一緒に、家族連れを間に挟んでから列の最後尾に並ぶ。
「なんか、ひーちゃんって少し変わった……わけでもないのかな」
「? 何、それ?」
「いや、だって私と知り合った頃は、もっとこう、勢いがあったというか。進みたい方向に壁があったらとりあえず体当たりで壊しちゃうような感じだったじゃない」
「……なんとなく、わかるけど」
でもそれは、自分の進む道が正しいと信じていたからできたことだ。「あの時」だって、自分のすることが雪穂のためになると信じていたから行動できたのだ。だけど、今回のこれは――
自分の行動が夕陽にとってプラスになるかどうか。
もっと言ってしまえば、自分にとってプラスになるかどうかすら。
わからないのだ。
「……」
ひなたはちらりと、同級生三人組を見る。いつもの調子で大竹がバカなことを言ったのだろう、夕陽と吉野が笑っている。その輪の中に加われたらいいのに、と少しだけ思う。
「話しかける?」
「だ、だからいいってば」
ひなたは雪穂を制止して、ポケットからスマートフォンを取り出して時間をチェックした。
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